手術関連
外科用 血管シーリングシステム導入しました
2020.09.30
吹田市の桃山台駅から徒歩圏内、二ノ切池公園の隣にあるアリバ豊中動物病院です。
当院では、より安全な手術を提供できるようベッセルシーリングシステムの「ENSEAL」と超音波凝固切開装置の「SonoSurg」を導入致しました。

これらは血管を超音波や電気の力を使って止血し同時に切開もできるエネルギーデバイスです。
子宮卵巣摘出手術や脾臓摘出、軟口蓋の手術などで今まで以上にスムーズな手術が可能となります。
通常の手術の際は血管を一つ一つ糸で縛り止血をした上で切離を行っていますが、これらの機器を使用することでオペ時間の短縮と体腔内に糸を残さず手術をすることが可能になります。
止血の為に使われる糸(縫合糸)は改良されてきているため昔に比べると糸に対して過剰な反応を起こす症例は少なくなってきていますがダックスさんを始めとして一部の子では糸に過剰な反応を起こして縫合糸反応性肉芽腫という腫瘍を作ってしまうことがあります。
卵巣子宮摘出術(いわゆる避妊手術)や精巣摘出術(いわゆる去勢手術)などで体腔内に糸を残さない方法での手術を御希望の場合はオプションで糸を使わない方法で実施することが可能です。詳細は獣医師までお尋ねください。
二つとも似たような仕事をする機械ですが長所と短所がそれぞれあります。
例えばSonosurgは先端が細い分細かい操作が必要なところでは威力を発揮しますが先端が高温になりやすいので周辺組織へのダメージに気をつける必要があります。
Ensealは先端がSonosurgに比べると太いですが先端の温度が上がりすぎることが無いので周辺へのダメージが少ない傾向にあります。
実際の手術の際にはどちらを使っても問題ないことがほとんどですが細かい部分や繊細な部分ではこだわって使い分けて手術を実施します。
これらのデバイスのお陰で手術時間が短くなることで患者さんの麻酔の負担を減らすことが出来ることと、手術時間が長引いて午後の診察に影響が出ることを防ぐことにもつながります。
手術は動物さんにとっても負担の大きい処置ですのでなるべく負担が少ない手術が提供できるように設備の面でも技術の面でもアリバ豊中動物病院はより良い動物病院になれるよう日々進歩し続けていきます。
手術のことで分からないことや相談したいことがありましたら気軽にご相談下さい。
アリバ豊中動物病院
手術関連
不妊・去勢手術と一緒に歯列矯正
2020.08.09
桃山台駅から徒歩圏内のアリバ豊中動物病院です。
フィラリア予防と狂犬病注射での予防開始シーズンも落ち着いてまいりました。
暑い季節が続いています。この時期は外の虫が活発になる時期です。フィラリア予防はもちろん、ノミ・マダニ予防もお忘れなく!
熱中症などにも十分気をつけて下さい。
さて今日は子犬・子猫さんの手術について少し書いてみようと思います。
子宮や卵巣をとる手術いわゆる不妊手術、避妊手術には生殖に伴うストレスの軽減だけでなく子宮や卵巣の疾患の予防、乳腺腫瘍の発生率を減らすなどの沢山のメリットがあります。
精巣をとるいわゆる去勢手術も精巣の疾患や前立腺疾患、会陰ヘルニア、心臓病リスクの増加などの男性ホルモンの関連していると思われるトラブルが起きる確率を減らしてくれたり、問題行動の抑制といったメリットがあります。
また、乳歯遺残(永久歯が生えたあとも乳歯が残ってしまう状態)がある場合は手術時に一緒に乳歯を抜いてあげることをお勧めしています。
お口の中を簡単に見させてくれる子なら一度乳歯が残っていないかチェックしてみてもいいかもしれません。
乳歯遺残しやすいのは犬歯の乳歯です。尖っている犬歯のすぐ近くにもっと尖った犬歯がある場合は乳歯である可能性が高いです。
分かりにくい場合は動物病院で確認してもらうことをお勧めします。
乳歯遺残があると永久歯の生え方がいびつになってしまい不正咬合といわれる状態になりやすくなってしまいます。
歯石が付きやすくなってしまったり、歯が歯肉に当たって痛みがでてしまったりすることがあるので手術をする際は乳歯も一緒にケアしてあげましょう。
今回は乳歯遺残が原因で下顎の犬歯が上顎の歯肉に当たってしまっていた症例の歯列矯正を紹介します。

写真では分かりづらいかもしれませんが乳歯のせいで下顎の犬歯が内側に生えてしまい上あごに犬歯の先端が当たってしまっている状態でした。
ちょうど去勢手術の相談をしていた時に見つかったので、手術時に乳歯抜歯と一緒に歯の向きを本来向いている方向へ動かす歯列矯正を同時に行う予定で麻酔をかけ。去勢手術後、乳歯を抜きその乳歯の歯根を利用して楔を打って永久歯を本来の方向へ動かす矯正方法を行いました。
去勢手術の跡の抜糸の際には無事歯並びは改善していて上あごには当たらなくなっています。

手術の前に乳歯のチェックや手術で解決可能な先天的な問題が無いか確認しておくと改めて悪化してから麻酔をかけるより麻酔の回数も少なくて済みます。
子犬さん子猫さんの不妊・去勢手術をお考えの際にはぜひご相談下さい。
当院では乳歯の生え変わりの時期なども考慮しワンちゃん猫ちゃんでは6か月令以降での手術をお勧めしています。6か月令になるくらいで一度お口のチェックなどで連れてきてあげてください。